日本が動き、太平洋が動いた
11月11日、野田総理は、ハワイでのAPEC会合においてTPP交渉参加に向けて関係国との協議に入ることを表明しました。この動きを受けてカナダ・メキシコが協議入りの意向を表明したほか、なかなか動かなかった日中韓FTAをはじめ、ASEAN+※3・+※6という経済連携の議論も加速化しました。
TPP協議入り表明という日本自らの判断が、中国の焦りを生み、アジア太平洋各国を巻き込む動きを作り出したものであり、これこそ近年にない主導的外交です。
※ +3(東南アジア諸国連合+日中韓) +6(インド・オーストラリア・ニュージーランド)
TPPについては、「コメの関税ゼロはダメ」といった、いくつか守らなければならない最低限の条件を国会から政府に対して示し、政府は、その範囲内で米国等と協議すべきです。玄葉外務大臣からも「是非そうしてほしい」と言われています。「国会との関係で降りられない」という文言を与えることで、対外交渉力を上げることは常套手段です。通商交渉は100対ゼロというものではなく、60対40という優位な結果をどう獲得するかという現実主義に立つべきです。中長期的な視点から国益を守る交渉力ある国家を目指すべきと考えます。
社会保障の安心が最大の成長戦略
社会保障と税の一体改革の議論は年内に大詰めを迎えますが、①社会保障の充実(在宅医療・介護の充実等)から、②社会保障の効率化(平均入院日数の減少等)を差し引き、③高齢化が進むことによる歳出増と④基礎年金の国庫負担増(36.5%→50%)を加えたもの【(①―②)+③+④】を消費税増税で賄うというのが大まかな図式です。
社会保障のどこを充実し、どこを効率化するかは現在まさに議論中です。新聞報道等にご注目頂ければと存じます。社会保障制度を考える視点として、長期持続可能で信頼できる制度を目指すことが求められます。質の高い社会保障をいつでもどこでも誰でも受けられることを目指す一方で、財源の議論から逃げてはなりません。高齢化による費用増大が避けられない中、患者負担引上げや保険料アップを求めることが困難な状況下では、消費税増税から逃げないことが基本だと考えます。
また、年金・医療・介護・財政が長期的に持続可能であることを明確に示すことで老後の心配が減り、もう少しお金を使えるようにしていく。これにより内需を増やしていくことが我が国の最も大事な成長戦略だと考えています。
正直派vsパフォーマンス派
消費税については、政府・与党社会保障改革検討本部で「…平成23年度中に必要な措置を講じる」と決定されています。来年3月までに消費税増税を含めた法案を国会に提出するには、年内中に決断しなければなりませんが、消費税増税に対する世論は賛否五分五分です。与党内でも反対意見は少なくなく、「離党も辞さず」といった激しい展開もありうる中で大議論の年末となりそうです。「選挙には不利かもしれないが長期的に見て正しいと思うことを正直に訴える政治家」と、「選挙を考えて短期的なパフォーマンスを重視する政治家」に、与野党でそれぞれ分かれていく感じがしています。「正直派」と「パフォーマンス派」の分水嶺は消費税への態度ではっきりします。今後起こる政界再編の対立軸になっていくのではないでしょうか。当然、私は正直派を貫きます。
まず身を切り、長期的な歳出削減を
5年前から一貫して訴えているように、消費税増税の前にまず政治家と公務員が身を切ることが必要です。具体的には国会議員の定数削減と国家公務員給与の引下げ(7.8%引下げ法案を提出中)が前提となります。また、公務員給与以外のムダな歳出カットについても、例えばEU各国では財政赤字を対GDP比3%以下に義務付けておりますが、長期的な歳出削減に向けたプレッシャーをかける工夫を具体化していきたいと思います。
















